先生対談(4)

先生対談の最終回は、主任の先生達に登場していただきました。園の中核として、動いている先生達。担任とはまた違った視点で幼稚園全体を見ていることが伝わると思います。

―今日はよろしくお願いします。まずは先生方の経験年数と、これまでの実感を教えてください。

ひろこ先生:
正直なところ、実感がないんですよ。子どもや保護者さんと新しい出会いが次々にあるので、気付いたら勤め始めて四半世紀たっていました(笑)。卒園児が就職して社会に貢献していたり、同僚として再び関わりを持ったり。そういう楽しさもあります。
えみこ先生:
私は園を一時期離れていましたが、復帰以来、もう12年経っています。ずっと担任を続けようと思っていましたが、結果的に主任という立場になりました。自分に求められる役割が変化したということをなかなか受け入れ切らないこともあったけれど、ここ最近は、先生たちの成長したことを感じて、嬉しいという感覚になってきたと感じます。

―担任から、主任へ意識が切り替わってきたのですね。ひろこ先生は早い時期に主任になられたと伺いました。

ひろこ先生:
主任になった年(6年目)は、担任と兼務で、それから研修団体の教育研究委員もしました。
えみこ先生:
私はある程度年数がたってから主任として外部とやりとりする立場になったので、ひろこ先生が若いうちから、園外とのやりとりをする場に出られていたことは大切なことだなと思います。ということで大王谷の中堅の先生にも世代交代してもらいたいです(笑)。今思うのですが、やはり若い先生達の経験する機会を奪ってしまってもいけないですね。
ひろこ先生:
学園の中だけでなく、学園の外にも共感し合える先生がいると、ヒントを得られたり、一緒に頑張ろうという気持ちになれたりすると思います。

―主任の先生は、先生達を指導する立場ですが、先生方とどのようにコミュニケーションをとられていますか?

ひろこ先生:
特に初任の先生は「分からないことを分からない」状態だと思うので、「こういうことに困っているだろうな」というところをできるだけ想像しながら伝えています。
えみこ先生:
私もこれまで、先生たちが動きやすいように、段取りを細かく伝えることを意識してきました。ただ、今ちょっと考えが変わってきていて、先生たちの考える場面を奪わないように、5・6年目の先生達には任せていく、口出ししないということを意識しています。

―先生達へ言いづらいことがある場面などはありませんか?

ひろこ先生:
それはあります。10言いたいところを1だけ伝えるとか。見守る部分もたくさんあります。
えみこ先生:
本人に伸ばしてもらいたい点や、厳しいことが伝わるようになるまでは、時間がかかります。その先生とどれだけ話せるか、信頼関係を築けているかにもよりますよね。なので、新任の先生には、指導教諭の先生や、身近な若い先生を通して伝えています。また、補助に入ったクラスの先生や、一緒に活動した先生とは「子どものために」という意識を共有しやすいと感じています。ですから、先生に何か伝えることが必要な場面でも、「先生は子どものことをこう捉えてたんだ、私の捉え方は…」と子どもの姿を通した伝え方をしています。

―お互いの認識のギャップを埋めていく伝え方だと、お互いに受け入れやすいですね。それでは、お二人がこれまでに出会った先生で印象深い先生を教えてください。

ひろこ先生:
それはI先生(大王谷幼稚園元園長)ですね。所属園が違ったので、直接一緒に何かしたということはないのですが、たくさんフォローをして下さいました。
えみこ先生:
私もI先生です。厳しい面がある一方で、一緒に楽しめていました。昔の幼稚園には園長先生と担任しかいなかったですが、私たちに寄り添って下さっていました。
ひろこ先生:
あとは、日知屋東のK先生(元園長)ですね。実は私、日知屋東の1期生なんですよ。成人してからK先生と一緒に働くようになりました。自分のことを幼児期から見てくれていた、という所で、どこかK先生に甘えてしまっていたという時期もありましたが、私が主任になった後、先生からアドバイスをいただく中で、自分を社会人として認めてくださっているという実感が得られました。

―なるほど。出身園に就職すると、若手の先生の子どもの頃を知っている!というベテランの先生もいらっしゃるので、よい距離感で仕事ができるといいですよね。

―それでは、幼稚園の先生にとって大切なことを教えてください。

ひろこ先生:
一つは、心身ともに健康であること…。健康であることに努める、意識することですね。仕事に集中するにしても、息抜きで遊ぶにしても健康でないと始まらないです。もう一つは、何か失敗を報告するときに正確に、誠実に伝えることです。一人で抱え込まないことが大切ですね。
えみこ先生:
子ども相手、大人相手に限らず、気づく力も大事かなと思います。保育の配慮として、子どもの健康状態や気持ちに気付いて行動することが必要ですし、周囲の先生が何をしているのかを観察する力も、自分自身の成長に繋がると思います。皆さんの知り合いにも、周囲の人の変化やファッション、お店、色んな事に気付く人っていると思うんですよね。そうやって周りに興味を持つ力を伸ばしていくと、先生になったときに役に立つと思います。

―学園がよりよくなるために必要なことがありますか?

えみこ先生:
正職の先生、短時間勤務の先生、パートの先生のいずれかと限定せずに、皆がこの幼稚園で働いてよかったと思える職場を目指すことですね。そして、色んな立場の先生方と「学園っていいよね」と話せるようになれば…と思います。
ひろこ先生:
どの先生も、それぞれの立場の先生への感謝を持ち続けることが大切ですよね。補助の先生へ対してもそうだし、担任の先生達に対しても、がむしゃらに頑張っている姿を尊重していきたい。自分だけが大変、ということではなくて、皆がそれぞれの役割を果たしているんだよ、ということは共有したいですね。
えみこ先生:
だからもっと、語り合う時間を作りたいですね。とはいっても目の前のことに追われてなかなか難しいところはあるんですが。だからどこから手を付けるか、変えていくかというのをよく考えていかないといけないです。
ひろこ先生:
社会も変化していますからね。それに追いつくのにも必死です(笑)。私も先生達も。でも、大変なことがあっても、皆が同じ方向を向けていると、お互い力をだせますよね。
えみこ先生:
そういう意味でも、皆で同じ研修を受けて、学びを共有する、熱くなるっていうのは大切ですね。

―就職園を探している後輩たちに伝えたいことがありますか?

ひろこ先生:
自分自身が、というよりも、自分の理想の先生像が、その園の雰囲気にあっているかを考えてみるのがいいと思います。あとは、仮に自分に子どもがいたとして、我が子を入園させたいと思える園かどうか。
えみこ先生:
研修に行くことが当たり前、という環境の園ですね。研修は、他の先生と新しく出会い、ものの見方が変わるチャンスなので。もちろん、研修に先生を送り出すために、代わりに保育に入る先生が必要ですけど、そこはお互いサポートし合おうという関係ができているかどうかも大切です。


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