先生対談(3)

先生対談も3回目となりました。今回は5・6年目の中堅の先生です。対談の中でも、相手の先生から学ぼうとする姿が印象的でした。このような姿勢が、両先生の保育を深める原動力になっているようです。

―今日はよろしくお願いします。早速ですが、これまでに持ったクラスを教えてください。

まみ先生 :
私は、1年目は全体補助をしました。2年目から担任を持つようになり、年少クラスを1回、年中クラスを2回経験して今は年長クラスです。
しおり先生:
1年目は年中担任、そのあと2~5年目が年長クラスで、今年6年目は年中クラスです。

―しおり先生は年齢が高い学年を担当されることが多いんですね。5・6年目を迎えて、職場での立ち位置はどのように変わってきましたか?

まみ先生 :
自分より後輩の先生が6人います。教えることも多くなってきましたが、経験が長い先生から教わることもまだまだ多いです。また、5年目になると、知りたいことや、やってみたいこともどんどん増え、充実しています。
しおり先生:
今、後輩の先生は5人います。後輩に対して、これまでの経験をもとに、1年の見通しを持ちながら教えたり、先輩の先生が動き始めるより先に、後輩を巻き込みながら動いたりできるようになってきたと感じます。

―後輩の先生と関わるうえで心掛けていることはありますか?

まみ先生 :
園児に対してもそうですが、後輩に対しても、「私たちが手本」という意識をもって、丁寧に関わるようにしています。話し方も、相手が気持ちよく「やってみよう!」となるように伝えるよう心掛けています。
しおり先生:
特に1年目の先生は、『分からないことが何か分からない』状態だと思うので、1から丁寧に教えることを意識しています。

―まみ先生は1年目に補助をされていますが、その経験は生きていますか?

まみ先生 :
裏方の動きが分かったり、担任になってからも、支えてもらっているという感謝があったりします。何か気付いて、率先して動いていくのも全体補助の先生の役割なので、様々な場面での気付きも増えたように感じます。

―広く全体を見渡す経験が得られるのは、全体補助の先生ならではの特権ですね。ところで、色々な先生達のお話を伺っていて感じるのですが、どこの園でも、保育後の時間の使い方が課題になっているようです。先生方は子ども達が帰った後の時間をどのように使っていますか?

まみ先生 :
まずは、目標の時間を決める、優先順位を決めることを意識しています。
しおり先生:
大王谷幼稚園では、終礼の時間(3時頃~)に、午後のスケジュールをみんなで共有するようにしています。時期に応じて、行事の準備を優先したり、学年毎の打ち合わせを先にしたりと工夫し、できるだけ早く帰れるようにしています。行事へのとりかかり自体も早めにしていて、運動会であれば半年前からブログラムの検討などちょっとずつ進めています。
まみ先生 :
富高幼稚園では、終礼は2時10分からです。子どもを送り出したすぐ後に始めています。

―幼稚園部の園児が降園するタイミングによって、各園で集まる時間を工夫されているんですね。もう1つ伺いたいのは、職員室での学びあいについてです。職員室に限らずとも、ほかの先生から学ぶ機会をどう作っているんだろうと思いまして。

しおり先生:
クラスでの出来事や取り組んでみたことを、お茶の時間に職員室で話し合っています。「○○ということがあったんですが、先生たちどう思われますか」みたいな。些細なことなんですけど、「保育って面白いな」と思ったり、もっと深く話を聞いてみたりする機会になっています。担任をしていると、他のクラスを覗けないので、そういう話が刺激になっています。
まみ先生 :
富高幼稚園では、月に1度、クラスの状況を共有する報告会をしています。その中で、丁寧な支援が必要な園児への関わり方を多くの先生からアドバイスしてもらっています。

―園としてそのような仕組みがあると、情報が回りやすいですね。それでは、幼稚園の先生になって苦労したことを教えてください。

しおり先生:
私は、子どものころから嫌いな食べ物がなかったので、給食で苦手なものがでてきた子どもへ投げかける言葉が、なかなか出てきませんでした。1年をかけて関わるうちに、子どもが苦手なものを少しずつ口に運べたり、箸を進めたりする姿を見て、しっかり取り組んでよかったな、とやりがいを感じました。
まみ先生 :
私が苦労したのは、登園時、「おうちの人がいい」と泣く子どもへの対応です。玄関先で、受け入れ当番をするので、自分のクラス外の子や低年齢の子と関わる機会が増えます。限られた時間で関係を深める難しさがありますが、安心できる存在になりたいな、と思っています。

―どちらの悩みとも、先生として一度は経験する悩みなのでしょうね。ちなみに、ピアノについては、お二人ともいかがですか?

しおり先生:
ピアノは小さいころから習っていたので苦にはなりませんでした。ですが、いきなり子ども達に「○○弾いて!」とリクエストされた時には、「また次までに練習しておくね!」と伝えています。さすがに練習の時間が必要です(笑)。
まみ先生 :
私も、ほかの楽器にも挑戦してみようと、家でギターを練習しているんですが、なかなか難しいです。

―楽器の幅が広がると、子ども達も楽しめますし、ほかの先生達へも、「ピアノ以外の楽器も試してみよう」と良い影響を与えられそうですね。それでは、幼稚園の先生をしていて、楽しいと感じる瞬間は何ですか?

しおり先生:
経験を積んでいくごとに、自分が少し工夫することで、クラスで子ども達が楽しんでいることを広げられるようになることです。自分が「してみたい!」と思った保育も実現できるようになってきました。遊びが広がって楽しんでいる子どもの様子をみると、自分自身も子どもと一緒になって楽しめます。

―「してみたい!」と思った保育というのは、どのような保育ですか?

しおり先生:
以前には、かき氷屋さんをしてみました。かき氷のシロップを見立てて作ってみたりとか、「かき氷マシン」を制作してみたりとか。そして、子ども達とかき氷屋さんを開いて、ほかのクラスの子たちを招待したりもしました。

―制作にとどまらず、そこからお店屋さんごっこのレベルまで「遊びを育てる」のはさすがですね。

しおり先生:
子どもからのアイデアがたくさん出てくるので。今まではそのアイデアをなかなか形にできなかったんですが、徐々にできるようになってきました。

―そのように保育を営めるようになったのはいつごろからですか?

しおり先生:
3~4年目ぐらいですね。1年目、2年目のころはなかなかできませんでした。

―先生になってからもまだまだ学ばないといけないということですね。では、まみ先生はどのような保育を意識されていますか?

まみ先生 :
私も子どもの持っている興味を広げる保育を心掛けています。この前、何かの種が園から出てきたのですが、それに興味を持っていたので「謎の種」と呼んで、どんな花が咲くか予想して絵を描いたり、植えて育てたりしています。そのような、子ども達のワクワクを形にできる瞬間が楽しいです。

―子どものワクワクを機敏に捉えて、保育に活かしているんですね。ところでまみ先生は、しおり先生に何か聞いてみたいことがあると伺いました。

まみ先生 :
はい。未経験の遊びに抵抗のある子を誘うにはどうしたらいいでしょうか?自由遊びの時に、遊びの道具をさりげなく置いたりはしているんですが…。他の友達のことは気になっている様子です。
しおり先生:
私だったら、あえてその子には直接声をかけずに、他の友達が遊んでいる所に自分が入って遊んだ上で、その子が近づいてきたらスペースを空けてあげようと思います。あとは、小さなことでいいので「一緒にやってもらっていい?」と先生のお手伝いをしてもらうのはどうでしょう?先生のお手伝い役って、他の友達の注目が集まりやすいですよね。お手伝い役を徐々に増やすとか、他者と関わる経験を増やす糸口にできないかな、と考えます。

―「直接には誘わない作戦」は面白そうですね。逆にしおり先生から聞いてみたいことはありますか?

しおり先生:
まみ先生が思う、富高幼稚園で一番盛り上がっている遊びは何ですか?
まみ先生 :
富高幼稚園では、園全体を使ったコーナー遊びが盛んです。1階にある廃材コーナーは朝の自由遊びの時間から使えます。コーナーで異年齢の交流も深まっています。2階ホールではトランポリンができ、図書コーナーに行くこともできます。もちろん、外で遊びたかったら園庭で遊べます。自分が好きな遊びができるのがいいところだと思います。
しおり先生:
クラス担任の先生とクラス内で遊ぶだけではないんですね。先生の配置とかはどうしてますか?
まみ先生 :
例えば、2階ホールに先生が必要だったら、2階の年長クラス(2クラス)のどちらかの先生がホールを見て、室内で遊びたい子は片方のクラスで遊んだりします。無線を使いながら、職員間で協力して調整しています。

―連携しながら遊び場を作っているんですね。

―それでは、最後に、先生方が富高学園に来た理由と、幼稚園選びのポイントについて教えてください。

しおり先生:
私は日向市出身ではなかったので、合同就職説明会に参加するまで、富高学園のことを知りませんでした。合同就職説明会での先生たちのお話に引き込まれて、面白そうだと感じてここに来ました。幼稚園選びのポイントとして、自分がしてみたいことをできそうな環境なのか、は大切だと思います。
まみ先生 :
私は、私の知り合いが富高学園の卒園生なのですが、その保護者の方から勧められてここに来ました。自主実習をさせて頂いた時に、先生たちが暖かく、子ども達も楽しそうで、素直な様子に惹かれて就職を決めました。また、他の園でも自主実習させていただくなかで、雰囲気が園によって全く違うことに気付きました。なので、「この園の先生と一緒に仕事してみたいな」とか、「この園は子ども達が伸び伸びとしていて楽しんでいるな」とか、園の魅力や保育観、環境を見て、感じて、自分に合った場所を見つけてほしいなと思います。


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