先生対談(2)

2つ目の先生対談は、異年齢児クラスや未満児クラスといった、従来の「幼稚園」にはなかったクラスを受け持つ先生達に追い願いしました。4年目・3年目というこの時期は、自分の仕事を進めるだけでなく、後輩に「仕事を伝える」仕事も必要になってくる時期。どのように後輩の先生達と接しているのでしょうか?

―今日はよろしくお願いします。まずは、ちひろ先生に伺います。勤務4年目になりましたが、これまで2年間と違いはありますか?

ちひろ先生:
1年目、2年目はまだ園の流れに慣れませんでしたが、3年4年経つと、自分の保育の進め方だったりとか、行事の内容だったりとか、細かい部分まで、見通しをもって活動を組み立てていけるようになって、今すごく楽しいです。
ふみか先生:
私も、1年目から担任を持たせて頂いて、行事の時には何をどう動けばよいかわからず、先生方に聞きながら動いていたんですけれども、3年目になって、全体の仕事・流れも分かってきて、「今、自分がこの作業をしたら、ほかの先生たちが自分たちの仕事ができるな」というように考えながら動くことができるようになっています。

―先生になってから時間がたち、後輩ができたり、実習生と関わったりする場面も増えてきたと思います。特にふみか先生は複数の先生がいるクラスのリーダーですよね。同じクラスの先生とのコミュニケーションで気を付けていることはありますか?

ふみか先生:
私は、もともと人に何かお願いすることとかが苦手で、だからこそ幼稚園に就職しました。ですが、今こあら組に3人の先生がいて、それぞれの先生たちの保育がある中で、日々小さなことでも相談したり、報告したりして支えあっています。

―ちひろ先生は実習の学生さんとどのように関わっていますか?

ちひろ先生:
私が実習生だったときの先生がすごく優しくて、何でも親身になって相談に乗ってくれる先生でした。その先生を思い返しながら、こう教えたら、あるいはこういうところに注目したら、「研究保育の案」を立てやすいのかなと考えたり、「子ども達とどう接すればいいのか」もわかりやすく教えられるんじゃないかなと意識しながら接していました。

―相手の立場で考える力もついてきたのですね。ところで、ふみか先生は未満児の担任、ちひろ先生は縦割り(異年齢児)クラスの担任と、いわゆる幼稚園(3歳、4歳、5歳児)のクラス担任とは少し違う立ち位置にいます。それぞれのクラスを指導する上で特に心掛けている点を教えてください。

ふみか先生:
私は、今まで年少と年長クラスを持ったのですが、2歳児クラスになって一番難しさを感じたのはトイレトレーニングです。その子にあったトレーニングがあったり、その子の気分もあったりで、一人ひとりへの個別の対応が何よりも大切だなと改めて感じているところです。

―未満児クラスの面白さってどういうところにありますか?

ふみか先生:
子ども達が、先生たちをすごく見ているので、ままごとが「こあらぐーみさん!」で始まったりします。「見られているな」と思うと同時に、そういう真似をしている子ども達の様子がかわいくて、楽しいです。

―ちひろ先生は年中・長クラスですが、保育の中で心掛けている点は?

ちひろ先生:
保育の中で制作活動をするのですが、年中さんもいるので、年長さんばかりに合わせたことをしてしまうと難しいです。なので、年長と年中さんで同じものを作りながらも、年中さん用にあらかじめ私が作っておいたほうが良いところなどを見極めながら準備しています。

―縦割りクラスの面白いところは?

ちひろ先生:
それぞれの遊び方、年齢による遊びの違いを比較しながら、そばで見られるというのはすごく面白いです。

―クラスの特性をよく理解した上で、工夫されているんですね。ところで、保育や保育の準備をする上で、先生方にも得意分野と苦手分野とあると思うのですが、これは辛かったなと思うことはありますか?

ふみか先生:
行事、特に発表会は、そのクラスのことが全部自分にまかされます。衣装、飾りもの、ダンスの振り付け、劇の進行とか、全部そうなんですが、なによりも劇の衣装が難しかったです。私も要領が悪いのでぎりぎりまで焦りながらしていて、その時は「辛い」って思うんですけど、発表会当日になると「頑張ってよかったな」と涙が出てきます。
ちひろ先生:
私が一番つらいと感じたのは、ピアノです。私は学生の時にピアノを弾き始めたんですけど、学生の2年間の練習だけでは、保育現場で力のなさを痛感してしまいました。先輩の先生も上手いので、そのプレッシャーもありました。また、子ども達が、「この歌を歌いたい」と言ってきたときに、子どもの要望にすぐ沿ってあげられないという悔しさも感じています。ですが、4年目になって、先生達から「上手になったね」と言われたりすることも増え、すごく嬉しいです。

―それでは、仕事で楽しいと思ったことは?

ふみか先生:
毎日楽しいんですけど、今まで担任を持った子どもが私が前を通っただけで、「ふみかせんせいー!」とか、「あのね○○したよー」とか、毎日いろんな話を聞かせてくれるのが私自身すごく嬉しいし、何よりも、こあら組さんの子たちが、家に帰って「これをしたよ」と保護者に話し、保護者がそれを私に教えてくださるのも嬉しいです。
ちひろ先生:
1年目は担任を持つ辛さもあったんですけど、今では、すごく担任を持ってよかったなと感じています。子ども達の面白さだったり、近くに寄ってきて、ギューとしたりとか、肩もみをしてくれたりとか、子ども達からのスキンシップが嬉しいなと思うところがあるし、保護者の方からも「先生、先生」と声をかけて頂いて、何気ない会話も保護者の方とできるという楽しさを感じます。

―それでは、幼稚園選びに迷っている後輩たちに伝えたいことがありますか?

ふみか先生:
実習に行って、先生が子ども達に一人ひとりに愛情を注いでいる姿を見て、「私もこうなりたい」と思って今の幼稚園に決めました。今の園に来てみて、何よりも人間関係が大事だなと思います。やっぱり、素直さと、頑張る一生懸命さがあれば人間関係もよくやっていけると思います。職場の雰囲気もあるので、色んな園に実習に行ってみるといいかなと思います。
ちひろ先生:
ふみか先生の話と被るところもあるんですけど、仕事をするってなると、自分にあった環境がすごく大事なのかなと思います。今私が働いている幼稚園が、職員が6名とほかの園からするとすごく少人数なんですけど、6人で行事をする大変もありながら、少ないからこそ先生達との仲が深まったりとか、時間をかけてたくさんいろんなアドバイスをくださったりと、私はすごく今の幼稚園で働けて良かったなと思います。


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